医療DX2025.07.30(更新日:2025.08.01)
L1・L2・L3ってなに?初心者でもわかるスイッチハブの種類と選び方ガイド
企業のIT担当者としてネットワーク環境を整備しようとしたとき、避けて通れないのが「スイッチハブ」の選定です。
一言に「スイッチ」といっても、「L1スイッチ」「L2スイッチ」「L3スイッチ」「アンマネージドスイッチ」など、いろいろな種類があり、初めて担当する方にとっては混乱しがちです。
「Lってなに?」「どれを選べばいいの?」
今回は、そんな初心者の企業担当者向けに、スイッチの種類とその選び方をわかりやすく解説していきます。
まず知っておきたい「L」の意味
スイッチに付けられる「L1」「L2」「L3」は、ネットワークで使われる「OSI参照モデル(7階層モデル)」に基づいたレイヤー(層)を示しています。
レイヤー | 名称 | 主な役割 |
---|---|---|
L1 | 物理層 | ケーブルや信号など |
L2 | データリンク層 | MACアドレスによる通信 |
L3 | ネットワーク層 | IPアドレスによる通信 |
L1スイッチ(ハブ)
厳密には「スイッチ」ではなく、「リピータハブ」と呼ばれるものです。
L1(物理層)で動作し、接続されたすべての機器に同じデータを流します。
特徴:
- 安価で構造がシンプル
- 信号をそのまま全ポートに流すだけ(衝突も起こりやすい)
- セキュリティや通信効率の面では非推奨
適している場面:
- 学習用途や一時的なネットワーク確認など限定的な使用に
L2スイッチ(レイヤ2スイッチ)
L2(データリンク層)で動作し、MACアドレスをもとに、必要な宛先ポートにのみデータを送る「スイッチング」を行います。
現在最も一般的なスイッチです。
特徴:
- 高速で効率的な通信が可能
- VLAN(仮想LAN)などの機能を持つ機種もある
- 管理機能の有無で「マネージド」と「アンマネージド」に分かれる
適している場面:
- 社内ネットワークの構築・拠点間接続など幅広く対応可能
L3スイッチ(レイヤ3スイッチ)
L2スイッチの機能に加えて、IPアドレスを使った「ルーティング」も行える高機能なスイッチです。
ルーターの役割を一部兼ねるため、大規模なネットワークで重宝されます。
特徴:
- IPアドレスベースで通信を最適化
- VLAN間の通信や、セグメントの切り分けに強い
- 設定・管理は専門的知識が必要
適している場面:
- 複数の部門・拠点をまたぐ大規模ネットワーク
- セキュリティやトラフィック分散を重視する企業
アンマネージドスイッチとマネージドスイッチの違い
同じL2スイッチでも、設定機能の有無で分類されます。
アンマネージドスイッチ:
- 設定不要、電源入れればすぐ使える
- VLANやQoSなどの細かい設定は不可
- 小規模ネットワークにおすすめ
マネージドスイッチ:
- 管理画面から詳細な設定が可能
- VLAN構成やトラフィック管理など柔軟性あり
- 中〜大規模ネットワークで必須
どのスイッチを選べばいいの?
目的やネットワークの規模に応じて、以下を目安に選ぶとよいでしょう。
規模 / 要件 | 推奨スイッチタイプ |
---|---|
とりあえず繋げたい | アンマネージドL2スイッチ |
VLANで部門ごとに分けたい | マネージドL2スイッチ(VLAN対応) |
VLAN間通信も必要 | L3スイッチ(ルーティング機能付き) |
検証用・学習用 | 安価なL1スイッチ(または小型L2) |
まとめ
スイッチはネットワークの「交通整理係」のような存在です。
スイッチの種類や役割を理解することで、自社のネットワークに最適な機器を選ぶことができます。
- L2スイッチが現在の主流
- 管理の有無でアンマネージドとマネージドに分かれる
- 規模と目的に応じてL3の導入も検討
「よくわからないからとりあえず安いものを…」では、後々トラブルにつながることもあります。
必要な機能を明確にし、将来的な拡張性も考慮して、スイッチ選びを行いましょう。