医療DX2024.09.17(更新日:2024.10.21)
ちょくちょく耳にする、「ローカル5G」って何ですか?
ローカル5Gとは、企業や自治体などが自らの管理下で構築・運用できる5Gの専用通信ネットワークのことです。通常、5Gは携帯通信事業者が提供する公共のネットワークですが、ローカル5Gは特定の範囲内で使うことができ、企業や工場、病院、自治体などが自前で5G環境を作り、独自の用途に活用するための技術です。
ローカル5Gの特徴
- 限定されたエリアで利用: ローカル5Gは、自社の施設や特定の場所に限定して運用されます。工場内や病院、商業施設、大学キャンパスなどのエリアに専用の5G基地局を設置し、その範囲内で高スピードかつ低遅延の通信を行います。
- 免許制: ローカル5Gを利用するには、周波数帯を使用するために総務省から免許を取得する必要があります。免許が与えられる範囲や周波数は限られていますが、これにより、企業や自治体が外部の干渉を受けずに自分たちのネットワークを運営できます。
- 高いセキュリティ: 自社専用の通信ネットワークであるため、外部のネットワークと隔離され、セキュリティ面での利点があります。情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを最小限に抑えることができ、医療機関や製造業、自治体の重要なインフラを保護することに向いています。
- カスタマイズ可能なネットワーク: 通信のスピードや遅延、帯域幅などを用途に応じて柔軟にカスタマイズできます。例えば、工場では自動化ロボットやIoTデバイスをスムーズに動作させるために低遅延が求められる一方、病院では高解像度の医療画像データをリアルタイムで送受信する用途に適したネットワークを構築できます。
ローカル5Gの利用シーン
- 工場(スマートファクトリー): 工場内でのロボットや機械の自動化を推進するため、ローカル5Gを利用して、高速かつ低遅延で通信し、効率的な生産体制を整えることができます。リアルタイムでデータを収集・分析することで、故障予知や生産の最適化が可能になります。
- 医療機関: 病院内でローカル5Gを利用することで、医療機器やデータシステムを高速かつ安定して接続し、診断や手術支援を行うことが可能です。また、医療画像や患者データのリアルタイム共有が行え、遠隔診療やリモート手術支援がさらに進化します。
- 自治体(スマートシティ): ローカル5Gは、都市インフラを効率化するための基盤として活用されます。交通システムの最適化、監視カメラのリアルタイム制御、防災システムの自動化など、様々なスマートシティプロジェクトで利用されています。
- 農業(スマートアグリ): 農業現場でのローカル5Gを活用することで、農機具やドローンの遠隔操作、センサーによる作物の成長管理、気象データのリアルタイム収集が可能になり、農業の効率と生産性が向上します。
ローカル5Gの導入に必要な準備
- 免許の取得: ローカル5Gの運用には、総務省からの免許取得が必要です。特定の周波数帯を割り当てられ、その範囲で利用が許可されます。
- 基地局の設置: 専用の5G基地局を設置し、そのネットワーク範囲を設定します。これは通常、企業や自治体の所有する敷地内や施設内で行われます。
- ネットワーク設計: 利用目的に応じて、ネットワークの設計を行います。どのようなデバイスを接続するのか、どれくらいの帯域が必要か、遅延の許容範囲などを検討し、最適なネットワークを構築します。
- セキュリティ対策: ローカル5Gは閉域網として利用されるため、外部からのアクセスを遮断できる反面、内部セキュリティの強化が重要です。デバイス認証やデータの暗号化などの対策を講じる必要があります。
ローカル5Gのメリット
- 高い柔軟性:企業のニーズに合わせてカスタマイズできるため、特定の用途に最適化できる。
- セキュリティ:外部のネットワークに依存せず、内部ネットワークで運用できるため、情報漏洩のリスクが低い。
- 低遅延・高速通信:5Gの特性である低遅延と高速通信が利用できるため、リアルタイムの操作やデータ処理が可能。
まとめ
ローカル5Gは、自社専用の5Gネットワークを構築するためのソリューションで、企業や医療機関、自治体などが独自の通信環境を確保し、セキュリティや通信の柔軟性を強化することができます。産業や分野に応じたカスタマイズが可能で、スマート工場や病院、スマートシティの構築に重要な役割を果たす技術です。