サイバーセキュリティ2025.04.30(更新日:2025.05.20)

【企業向け】能動的サイバー防御制度の影響分析

対象となる可能性がある企業

種別具体例
重要インフラ企業電力、通信、交通、医療、金融、ガス、水道等
防衛・政府関係企業防衛装備、国家機関委託先、公共事業企業など
通信事業者・クラウド事業者ISP、IX事業者、データセンター、SaaSベンダーなど
技術提供企業セキュリティベンダー、ソフトウェア開発会社など

想定される影響

分類影響内容解説
🔍 通信監視の協力要請通信ログ・メタデータの提供要請NISCや警察庁からの要請により、社内ネットワークの通信履歴提供が義務化される可能性
🧩 情報共有義務脅威インテリジェンスの通報義務化攻撃を受けた際、政府機関への即時報告やデータ共有が義務化される可能性
⚠️ 業務・サービス制限通信遮断・機器隔離などの命令攻撃検知時に一部ネットワーク遮断命令やシステム制御命令が出るケースも
💼 法的リスク誤認や誤対応への賠償問題正当な理由なくユーザ通信を監視・制限した場合、プライバシー侵害訴訟等のリスクも
👥 社内対応体制の強化CISOの明確化、緊急連絡網の整備組織内に**専門部署(SOC等)**の設置が求められる可能性

【企業向け】有事に備えた対応マニュアル案(ドラフト)

サイバー攻撃対応マニュアル(能動的サイバー防御対応版)

1. 平時の備え(予防措置)

◯ 技術的対策

  • ファイアウォール、EDR、IPS/IDSの導入・監視体制整備
  • 攻撃兆候検知システムの強化(AI型SOCの活用など)
  • 通信ログ(メタデータ)の一定期間保存体制

◯ 組織的対策

  • CISO(情報セキュリティ責任者)の選任と指揮命令系統の明確化
  • インシデント対応チーム(CSIRT)の整備
  • 法令・ガイドラインの研修(NISC、警察庁等)

◯ 外部連携

  • NISC・JPCERT・通信事業者との事前の通報・連携ルール策定
  • 官民サイバー演習(CyberSec、防衛白書等の訓練)への参加

🚨 2. 有事対応フロー(攻撃兆候または発生時)

フェーズA:兆候検知時

ステップ内容
① 通信異常の検出SOCやログ監視で攻撃兆候を感知
② 速やかな初動対応CISO判断により一時遮断・隔離措置
③ 政府機関への通報NISCや警察庁に報告、助言要請

フェーズB:当局との連携

ステップ内容
④ 情報提供要請に応じて通信ログやシステム情報を提出
⑤ 指示への対応一部ネットワーク遮断、対象サーバのオフライン化等の政府指示を遵守
⑥ 記録保存すべての対応を記録し、後日報告書化(法令対応用)

3. 事後対応

◯ 復旧対応

  • 障害範囲の特定と復旧
  • 被害の再発防止策の導入(パッチ適用、構成見直し)

◯ 報告と分析

  • 社内向け報告書/社外関係者向け説明資料作成
  • 攻撃経路・原因・対応策のフィードバック分析

◯ 外部報告・説明

  • 株主・取引先への対応文書作成
  • 必要に応じて個人情報保護委員会や公的機関への報告

4. 定期訓練・見直し

  • 半年に一度のインシデント演習の実施(通信遮断、政府通報想定)
  • マニュアルの年次見直しと法改正の反映
  • スタッフ向けeラーニングと模擬訓練の実施

まとめ:企業に求められるアクションリスト(簡易チェック)

実施状況
CISO・CSIRT体制を整備しているか
攻撃兆候に対する初動フローが定義されているか
通信ログやバックアップを一定期間保存しているか
政府機関への通報先・連携方法が明記されているか
マニュアルや体制の見直しを定期的に行っているか
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