サイバーセキュリティ2025.12.17(更新日:2025.11.05)

【セキュリティ講座⑨】人材不足の中小企業が選ぶべきセキュリティ外部パートナー

はじめに

「セキュリティは重要だと理解しているが、専任担当者を置く余裕がない」――こうした悩みは、多くの中小企業が抱える現実です。
IPA(情報処理推進機構)の調査によれば、日本では数十万人規模のセキュリティ人材が不足しており、大企業でも人材確保が難しい状況です。中小企業が自前で専門スタッフを確保するのは、現実的に厳しいと言わざるを得ません。

このような状況で頼りになるのが、外部パートナーです。本記事では、中小企業が限られたリソースの中で信頼できるパートナーを見極め、セキュリティ体制を整える方法について解説します。

中小企業におけるセキュリティ人材不足の背景

中小企業が専門人材を確保しにくい理由は、主に以下の4点です。

  • 採用難:市場全体で人材が不足しており、求人を出しても応募が少ない
  • コスト制約:フルタイムで専門人材を雇用すると年収600~800万円以上が必要
  • 業務範囲の広さ:IT担当者がPC管理からネットワーク保守、セキュリティまで幅広く兼任
  • 実務経験不足:実際のサイバー攻撃に対応した経験を積む機会が少ない

結果として、「守るべき情報やシステムは大企業並みにあるのに、人も予算も不足している」というギャップが生まれています。

中小企業が活用できる外部パートナー

外部パートナーには、さまざまな種類があります。

IT保守ベンダー

特徴:日常のPCやネットワークの保守を任せている会社

メリット:自社システムの理解があり、相談しやすい

注意点:高度なセキュリティ知識は持っていない場合がある

セキュリティ製品ベンダー・販売代理店

特徴:EDRやUTMなどの製品を販売・導入支援

メリット:製品知識が豊富

注意点:運用やインシデント対応まで任せられるとは限らない

マネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)

特徴:ログ監視やアラート対応などを外部から実施

メリット:24時間体制で監視可能

注意点:月額費用が発生し、連携体制を整える必要がある

MDR

特徴:EDR/XDR運用を外部の専門家に委託

メリット:高度な調査・対応まで任せられる

注意点:利用可能な製品が限定される場合がある

コンサルティング会社

特徴:セキュリティポリシー策定や教育支援

メリット:経営層向けの戦略立案に強い

注意点:日常運用や監視業務は担当しないことが多い

外部パートナーを選ぶ際のポイント

自社の課題に合っているか

日常の運用を任せたいのか

高度なインシデント対応を求めるのか

全体の戦略を整備したいのか
→ 目的によって最適なパートナーは変わります

契約範囲と責任分界点を明確にする

どこまで外部に任せ、どこからは自社対応か

例:アラート検知は外部、経営層への報告は自社

緊急時の対応力

夜間・休日も対応可能か

インシデント時に「誰に」「どう連絡するか」を明確にしておく

コストと効果のバランス

月額数万円で利用できるサービスもあれば、数十万円かかるものもある

「何を守るための投資か」を明確にし、費用対効果を検討

中小企業向けの現実的モデル

現実的には、次のような組み合わせが有効です。

IT保守ベンダー × セキュリティサービス
→ 日常のITサポートは身近な業者に任せ、セキュリティ監視はMSSPに委託

Microsoft 365+MDRサービス
→ DefenderやIntuneを基盤に、監視・対応を専門ベンダーに任せる

必要に応じたコンサル連携
→ 年数回だけポリシー見直しや教育を外部専門家に依頼

こうした「ハイブリッド型」の活用が、中小企業にとって現実的かつコスト効率の良い方法です。

まとめ

セキュリティ人材の不足は当面続くと考えられます。中小企業が注力すべきは、自前で人材を抱えることではなく、信頼できる外部パートナーを上手に活用することです。

  • 自社の課題を明確にする
  • 目的に応じたパートナーを選ぶ
  • 契約範囲と責任をはっきりさせる
  • 緊急時の対応体制を確認する

これらを押さえることで、限られたリソースでも持続可能なセキュリティ体制を築くことができます。

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