UPS・蓄電池2025.01.29(更新日:2025.01.15)

「UPS(無停電装置)」と「蓄電池」って何が違うの?

UPS(無停電電源装置)と蓄電池はどちらも電力供給に関する装置になりますが、その目的や機能には明確な違いがあります。それぞれの役割と特徴を比較してみましょう。

UPS(無停電電源装置)の特徴

UPSは「電力供給の安定化」と「瞬時のバックアップ」を目的とした装置で、以下のような特徴があります。

〇目的

停電や電圧変動などの電力トラブルから接続された機器を保護します。

停電発生時に瞬時にバックアップ電力を供給し、機器が停止しないようにします。

〇仕組み

通常は商用電源から直接電力を供給しつつ、内蔵バッテリーを充電します。

停電や電圧低下時に、自動的に内蔵バッテリーを使用して電力を供給します。

〇構成

内蔵バッテリー(リチウムイオンまたは鉛蓄電池)。

インバーターや整流器を備えた電源管理システム。

〇用途

データセンターやサーバールームでのコンピュータ機器。

工場の制御装置や精密機器。

病院の手術室やICUでの医療機器。

〇電力供給の時間

短時間(数分~数十分程度)供給できる設計が多い。

※長時間のバックアップは主電源復旧までの「つなぎ」として利用します。

蓄電池の特徴

蓄電池は電力を「貯めて使う」ことを主な目的とした装置で、以下の特徴があります。

〇目的

電力の貯蔵と供給。

電力のピークシフトや再生可能エネルギーの蓄電などの長時間の電力利用をサポート。

〇仕組み

外部電源や太陽光発電などから電力を蓄え、必要に応じて供給。

インバーターを組み合わせることで、AC電源(交流)機器にも電力を供給可能。

〇構成

バッテリーセル(リチウムイオン、鉛酸、ニッケル水素など)

必要に応じて充放電を管理するバッテリーマネジメントシステム(BMS)

〇用途

家庭や病院、工場での停電時の電力バックアップ。

再生可能エネルギー(太陽光や風力発電)の蓄電。

携帯型電源や電動車両(EV)など。

〇電力供給の時間

蓄電池の容量に応じて、数時間から数日間の電力供給が可能。

違いの比較

項目UPS蓄電池
主な目的瞬時の電力供給と安定化電力の貯蔵と長時間供給
供給の継続時間数分~数十分数時間~数日
使用シーン医療機器、サーバーの瞬時バックアップ停電時の長時間バックアップや再生可能エネルギー利用
構成要素バッテリー+インバーターバッテリー+必要に応じた管理システム
設計目的一時的な緊急対応長期的・計画的な電力利用

組み合わせの利用

UPSと蓄電池は相互補完的に利用されることが多いです。

〇短期+長期のバックアップ

UPSで瞬間的な停電リスクをカバーし、その後に蓄電池で長時間の電力供給を行うシステム設計が一般的です。

〇医療機関での使用例

手術室ではUPSが瞬時の停電対策を行い、蓄電池が長時間の停電にも対応する役割を果たします。

どちらを選ぶべきか

短時間のバックアップが必要(例:瞬間的な停電)

→ UPS

長時間の電力供給が必要(例:長時間の停電対応や再生可能エネルギー)

→ 蓄電池

両方の利点を活かしたい → UPSと蓄電池を組み合わせたシステム

これにより、使用目的や用途に応じて最適な選択を行えます。

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