患者用WiFi2024.07.09

無線LAN(Wifi)の医療機関での普及状況

医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果

出展:電波環境推進協議会

総務省は、医療機関での電波利用状況を継続的に確認し、安心・安全に電波を利用するための適正な電波利用推進を目指して、不要電波の総合対策を実施する「電波環境協議会」の「医療機関における電波利用推進委員会」と協力して、医療機関に対して定期的なアンケート調査を行っています。

今回、「電波環境協議会」が公表する「医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果」を基に、2018年から2022年までの「病院」における「Wi-Fi普及率」の推移と「使用用途の変化」について見ていきます。

「出展」電波環境協議会 医療機関における電波利用推進委員会

・2018年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果【病院】

・2029年度医療機関等における適正な電波利用推進に関する調査の結果【病院】

・2020年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果【病院】

・2021年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果【病院】

・2022年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果【病院】

「病院」におけるWifi導入状況の推移

2018年 81.1%

2019年 81.1%

2020年 88.7%

2021年 93.2%

2022年 91.6%

Wi-Fi導入率は年々増加しており、2021年には93.2%に達しました。2022年に若干の減少が見られますが、依然として高い水準を維持しています。これは、病院におけるWi-Fiの重要性が増していることを示しています。

年度別「使用用途」の分析

【2018年】 

病院情報システム用 66.9%

医療機器用(X線撮影・超音波検査装置等) 23/5%

病院スタッフ・インターネット接続 68.7%

患者様・外部訪問者・インターネット接続 18.2%

音声通話・ナースコール用 10.3%

その他 3.2%   無回答 0.8%

【2019年】

医療・介護情報システム用 67.3%

医療機器用 29.4%

施設スタッフ・インターネット接続用 71.1%

患者様・利用者様・外部訪問者・インターネット接続用 27.3%

音声通話・ナースコール用 10.8%

その他 3.1%

【2020年】

医療・介護情報システム用 65.7%

オンライン診療用 8.6%

見守りセンサ用 8.7%

医療機器用 26.8%

施設スタッフ・インターネット接続用 75.4%

患者様・利用者様・外部訪問者・インターネット接続用 30.8%

音声通話・ナースコール用 13.5%

その他 7.7%

無回答 0.2%

【2021年】

医療情報システム用 68.9%

オンライン診療用 14.6%

見守りセンサ用 12.7%

医療機器用 26.1%

無線式の患者の生体情報モニタ用 30.8%

無線ネットワークカメラ用 12.6%

施設スタッフ・インターネット接続用 71.8%

患者様・利用者様・外部訪問者・インターネット接続用 33.5%

オンライン面会用 42.0%

音声通話・ナースコール用 9.9%

その他 2.0%

無回答 0.1%

【2022年】

医療情報システム用 70.5%

オンライン診療用 12.4%

見守りセンサ用 8.9%

医療機器用 36.5%

無線ネットワークカメラ用 18.3%

施設スタッフ・インターネット接続用 74.1%

患者様・利用者様・外部訪問者・インターネット接続用 41.7%

オンライン面会用 52.7%

オンライン会議用 52.2%

音声通話・ナースコール用 7.2%

その他 2.3%

無回答 0.0%

アンケートから読み取れること

2021年から「オンライン面会用」の項目が登場しています。

Wi-Fiの用途が「オンライン面会用」である医療機関は、2021年には42.0%、2022年には52.7%と非常に高く、約半数の病院で「オンライン面会」のためにWi-Fiが利用されていることがわかります。コロナ禍での面会制限により「オンライン面会」の必要性が高まり、その目的でWi-Fi設備を導入した病院もあるでしょう。また、これにより医療用以外の使用も開始されたと推測されます。

コロナ禍の影響

新型コロナウイルスのパンデミックにより、医療機関は厳しい面会制限を余儀なくされました。これにより、患者とその家族や友人との直接の対面が難しくなり、オンライン面会が重要な代替手段として浮上しました。この変化に対応するため、多くの病院が急遽Wi-Fi設備を強化し、オンライン面会が可能な環境を整えました。

Wi-Fi利用の拡大

2021年には、医療機関の42.0%がオンライン面会のためにWi-Fiを利用していましたが、翌年にはその割合が52.7%に増加しました。この急増は、オンライン面会の需要が高まっただけでなく、Wi-Fi環境の整備が進んだことも示しています。これにより、患者とその家族が安心してコミュニケーションを取ることができるようになりました。

医療機関におけるWi-Fiの導入とその影響

患者と家族の心理的支援

オンライン面会は、患者とその家族にとって大きな心理的支援となります。長期間の入院や面会制限が続く中で、オンラインを通じて顔を見て話すことができることは、患者の回復にとっても非常に重要です。これにより、患者のストレスが軽減され、家族も安心して患者の様子を確認することができます。

医療用以外のWi-Fi利用

オンライン面会のために導入されたWi-Fi設備は、他の用途にも活用され始めています。例えば、医療スタッフが電子カルテやその他のデジタルツールを利用する際の通信環境が向上し、業務の効率化が図られています。また、患者がインターネットにアクセスして情報を収集したり、エンターテインメントを楽しんだりすることも可能となり、入院生活の質が向上しています。

2022年から「オンライン会議」の項目が登場します。

コロナ禍を機に、企業では、テレワークが当たり前となり、社員がオフィスに出社することなく、自宅やその他のリモート環境から業務を遂行することが一般的になりました。

また、医療機関でも、コロナ禍における感染防止対策として、出張の制限や院内会議のオンライン化が進みました。具体的には以下のような変化がありました。

  オンライン会議の普及:

  • 医療スタッフ同士のミーティングやカンファレンスがオンラインで行われるようになり、物理的な会議室に集合する必要がなくなりました。
  • 多職種連携会議や病棟会議もオンラインで行われ、効率的に情報共有ができるようになりました。

  研修やセミナーのオンライン化:

  • 医療従事者向けの研修やセミナーがオンラインで開催されるようになり、場所にとらわれず参加できる機会が増えました。
  • 学会や勉強会もオンラインで実施され、最新の医療情報の共有が迅速に行われるようになりました。

  患者とのコミュニケーションの変化:

  • 診療予約や問診票のオンライン化が進み、患者の利便性が向上しました。
  • 遠隔診療やオンライン診療が導入され、患者が自宅から医師の診察を受けることが可能になりました。

「患者様・利用者様・外部訪問者・インターネット接続用」の用途推移について、2018年度の調査では、18.2%でしたが、4年後の2022年調査では41.7%に増加しました。また、Wi-Fi導入率も2018年の81.1%から2022年には91.6%に伸びており、これは病院側が従来医療用として敷設したWi-Fi設備を患者様に開放したことを示しています。この背景には、コロナ禍での入院面会制限や入院患者のWi-Fiの要望、外来患者の待ち時間への対応などが影響しています。また、日常生活でのWi-Fi依存が高まる中で、医療機関においても公衆Wi-Fiの利用が期待されるようになりました。

「患者様・利用者様・外部訪問者・インターネット接続用」の用途推移について、2018年度の調査では18.2%でしたが、4年後の2022年調査では41.7%に増加しました。また、Wi-Fi導入率も2018年の81.1%から2022年には91.6%に伸びています。これは、病院側が従来医療用として敷設したWi-Fi設備を患者様に開放したことを示しています。

背景には、コロナ禍での入院面会制限や入院患者のWi-Fi利用の要望、外来患者の待ち時間への対応などが大きく影響しています。特に、オンライン面会の需要が高まったことで、患者とその家族や友人とのコミュニケーション手段としてWi-Fiが重要視されるようになりました。

さらに、日常生活でのWi-Fiの利用が一般化する中で、医療機関でも公衆Wi-Fiの提供が期待されるようになりました。これにより、患者や訪問者は医療機関内でもインターネットを利用して情報収集や連絡を行うことが可能になり、快適で便利な滞在環境が整備されています。

このように、Wi-Fiの普及と利用用途の多様化は、医療サービスの向上と患者満足度の向上に寄与しています。今後もテクノロジーの進化と共に、医療機関におけるWi-Fi利用の重要性がさらに高まることが期待されます。

2020年からは「見守りセンサ」の項目が登場します。

2020年から「見守りセンサ」の項目が登場しました。無線式の「見守りセンサ」が普及したことで、患者様をより安全に見守ることが重視されるようになりました。また、職員の働く環境改善も注目されており、従来の有線式から無線式へと変化するIT機器が普及したことを表しています。以下では、この話題をさらに広げて、無線式見守りセンサの具体的な利点と導入の背景について詳しく述べます。

無線式見守りセンサの利点

患者安全の向上

  • リアルタイム監視: 無線式見守りセンサは、患者の動きや状態をリアルタイムで監視できます。これにより、異常が発生した際に即座に対応できるようになり、患者の安全が確保されます。
  • 転倒予防: 高齢者やリハビリ中の患者の転倒リスクを軽減するために、見守りセンサが活用されます。異常な動きを検知すると、職員にアラートが送信され、迅速な対応が可能です。
  • 心拍や呼吸のモニタリング: センサによって患者の心拍数や呼吸状態を監視し、異常があればすぐに通知されるため、早期の医療介入が可能になります。

職員の働く環境改善

  • 負担軽減: 無線式センサによる監視により、職員が常に患者を見守る必要がなくなり、労働負担が軽減されます。これにより、職員が他の重要な業務に集中できるようになります。
  • 効率的な業務遂行: センサからのデータが一元管理されるため、職員は効率的に患者の状態を把握し、必要な対応を迅速に行うことができます。
  • 柔軟な配置: 無線式センサは設置場所に柔軟性があり、部屋のレイアウトや患者の移動に応じて簡単に配置変更ができます。

導入の背景

技術の進化

  • IoTの普及: インターネット・オブ・シングス(IoT)の技術が進化し、医療機器においても多くのデバイスがインターネットに接続されるようになりました。これにより、データの収集と解析が容易になり、見守りセンサの機能が向上しました。
  • 無線通信技術: 無線通信技術の発展により、センサデータのリアルタイム伝送が可能になり、配線の煩わしさや設置の制約が大幅に軽減されました。

社会的背景

  • 高齢化社会: 高齢化社会が進む中で、介護施設や病院における高齢者の見守りニーズが高まっています。無線式見守りセンサは、高齢者の安全を確保しながら、職員の労働負担を軽減する重要なツールとなっています。
  • 新型コロナウイルスの影響: コロナ禍により、接触を最小限に抑えたケアが求められるようになりました。無線式見守りセンサは、非接触で患者の状態を監視できるため、感染リスクを低減する役割も果たしています。

実際の導入事例と効果

導入事例

  • 病院: 多くの病院で無線式見守りセンサが導入され、患者の転倒予防や異常検知に役立っています。特に、集中治療室や高齢者病棟での利用が進んでいます。
  • 介護施設: 介護施設では、入居者の安全を確保するために見守りセンサが活用されており、スタッフの負担軽減にも繋がっています。
  • 在宅医療: 在宅医療においても、無線式見守りセンサが利用され、患者の自宅での安全な生活をサポートしています。

効果

  • 事故の減少: 見守りセンサの導入により、患者の転倒やその他の事故が減少し、安全性が向上しました。
  • スタッフの負担軽減: センサによる監視により、スタッフの負担が軽減され、業務の効率化が進みました。
  • 患者満足度の向上: 患者やその家族にとって、安心して治療やケアを受けられる環境が整い、満足度が向上しました。

未来の展望

無線式見守りセンサの技術は今後も進化し、より高度な監視機能やデータ解析能力が期待されます。また、AI技術との連携により、異常の予測や自動対応が可能になるなど、医療現場のさらなる効率化が進むでしょう。高齢化社会の進展とともに、無線式見守りセンサの重要性はますます高まると予想されます。

2021年から「無線ネットワークカメラ」の項目が登場しました。

これは防犯カメラの重要性がより広まったとともに、従来の同軸ケーブルを使用した有線式アナログカメラから、Wi-Fiを使用した無線式のネットワークカメラへ移行が進んだことを示しています。すでに整ったWi-Fi環境を、より多くのIT機器で最大限に活用する動きが見られます。以下、この話題をさらに広げ、無線ネットワークカメラの利点、導入の背景、および具体的な応用事例について詳しく述べます。

無線ネットワークカメラの利点

柔軟な設置

  • 配線の手間が不要: 無線ネットワークカメラはWi-Fiを利用するため、配線の手間が省けます。これにより、設置場所の選択肢が広がり、設置作業が容易になります。
  • 移動が簡単: カメラの位置を変更する必要がある場合でも、無線ネットワークカメラなら簡単に移動させることができます。

高解像度とデジタル機能

  • 高画質映像: 無線ネットワークカメラは高解像度のデジタル映像を提供できるため、監視精度が向上します。特に犯罪予防や事故の記録において有効です。
  • リモートアクセス: ネットワーク経由でカメラの映像にアクセスできるため、遠隔地からでもリアルタイムで監視が可能です。

統合と連携

  • スマートデバイスとの連携: 無線ネットワークカメラはスマートフォンやタブレットと連携し、アラートや映像の確認が容易に行えます。
  • クラウドストレージ: 映像データをクラウドに保存することで、データの安全性が高まり、過去の映像をいつでも確認できます。

導入の背景

防犯意識の高まり

  • 犯罪予防: 防犯カメラの設置により、犯罪の抑止力が向上します。特に公共施設や商業施設での需要が高まっています。
  • 証拠収集: 事件や事故が発生した際の証拠として、映像記録が重要な役割を果たします。

テクノロジーの進化

  • Wi-Fi環境の整備: 多くの施設でWi-Fi環境が整備されており、そのインフラを活用して無線ネットワークカメラの導入が進んでいます。
  • IoT技術の普及: IoT技術の発展により、カメラが他のデバイスと連携し、統合された監視システムが構築されつつあります。

具体的な応用事例

医療機関

  • 患者の安全監視: 無線ネットワークカメラは病院内で患者の安全を監視するために使用され、転倒や異常行動を早期に発見できます。
  • セキュリティ強化: 病院のセキュリティを強化し、不審者の侵入を防止するために役立っています。

まとめ

全体として、病院におけるWi-Fi導入率は年々増加し、使用用途も多様化しています。特に、コロナ禍による非対面コミュニケーションの需要増加が、オンライン診療やオンライン面会の利用を促進しています。また、医療機器や見守りセンサ、無線ネットワークカメラなど、無線技術を活用した新しい用途の普及も進んでおり、病院内でのWi-Fiの重要性が一層高まっています。これらの傾向は、今後も医療現場のデジタル化とサービス向上に寄与し続けるでしょう。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてブ
  • Pocket