増え続ける「ネット詐欺」!その手口、対策は?「不正改ざんサイト」編
不正改ざんサイトとは?
不正改ざんサイトとは、正規のウェブサイトが第三者によって乗っ取られ、一部または全部が不正な内容に書き換えられてしまった状態のサイトを指します。多くの場合、サイト運営者が気づかないうちに改ざんが行われ、訪問者に被害が及ぶのが特徴です。
不正改ざんサイトの手口
その具体的な手口について、
まず、前提として大切なのは――
不正改ざんは、正規のウェブサイトがターゲットにされるという点です。
つまり、皆さんが「ここは安心」「信頼できる」と思っていたサイトが、ある日突然、サイバー犯罪者の道具に変えられてしまうということなんです。
では、その手口とはどういうものか。大きく3つのパターンがあります。
① サーバーやCMSの脆弱性を突く攻撃
まず1つ目は、サーバーやCMS(コンテンツ管理システム)の弱点を狙った攻撃です。
特に、WordPressなどのCMSは非常に多く使われている分、攻撃対象になりやすいんですね。
例えば、古いバージョンを放置していたり、使っていないプラグインをそのままにしていたりすると、そこから侵入されて、悪意あるコードを埋め込まれてしまうわけです。
② 管理者アカウントの乗っ取り
続いて2つ目は、サイト管理者のID・パスワードが盗まれるケースです。
これは、フィッシングメールやSNSの乗っ取りなどによって、管理画面へのログイン情報が流出してしまい、正規の操作として見せかけてサイトが改ざんされてしまいます。
改ざんされたことに気づくのが遅れると、そのサイトに訪れた多くのユーザーが被害に巻き込まれる危険性があるんですね。
③ 不正スクリプトや偽コンテンツの埋め込み
そして3つ目が、ページ内に不正なスクリプトや偽コンテンツが埋め込まれるケースです。
たとえば、サイトにアクセスした瞬間に、
- 「ウイルスに感染しました」などと偽の警告を出して、偽アプリをインストールさせる
- フィッシングサイトへ自動で転送する
- マルウェアが自動的にダウンロードされてしまう
――といったことが、知らず知らずのうちに起きてしまいます。
しかも、これらは表面的には気づきにくいのが厄介なところです。
まとめると、不正改ざんの手口というのは、
- 技術的な弱点を狙う
- 人間の油断を突く
- ユーザーの目を欺く
――という、まさにサイバー犯罪の王道とも言える手口が組み合わさっているんです。
このあとお話しする「見分け方」や「対策」を知ることで、皆さん自身、そして周囲の方々を守ることにつながります。
どうか「自分は大丈夫」とは思わず、正しい知識を持って対策していただきたいと思います。
不正改ざんサイトの見分け方
不正改ざんサイトというのは、一見するとまったく普通のサイトに見えるというところが非常に厄介です。
私たちはつい、「有名な企業のサイトだから安心」「何度も見ているページだから大丈夫」と思ってしまいがちですが――
攻撃者の手にかかると、その「安心」が一瞬で崩れてしまいます。
では、私たちはどのようにして不正に改ざんされたサイトを見抜くことができるのか?
ここからは、その見分け方のポイントを、いくつかご紹介してまいります。
① 見た目に違和感がある
まず最初に注目すべきは、サイトの見た目や表示の違和感です。
「いつもとトップページのデザインが違う」
「画像が読み込まれない」「レイアウトが崩れている」
「急に変な日本語のページが増えている」
こういった現象が起きていたら、サイトが改ざんされている可能性があります。
とくに公式サイトでは、こうした不具合は本来すぐに修正されるはずですから、放置されている場合は要注意です。
② 急に表示されるポップアップや警告メッセージ
次に注意したいのが、突然表示される不自然なポップアップや警告画面です。
たとえば、
- 「ウイルスに感染しました」
- 「お使いのデバイスは重大な問題を抱えています」
- 「今すぐこちらをクリックしてください」
こういったメッセージが現れたら、まずは疑ってかかってください。
これらは多くの場合、偽のセキュリティ警告や詐欺広告であり、クリックした瞬間にウイルスをダウンロードさせられたり、フィッシングサイトに飛ばされたりします。
③ 知らないサイトに自動転送される
さらに、「正規のサイトにアクセスしたはずなのに、勝手に別のサイトに飛ばされた」という場合は非常に危険です。
これはサイト内部に不正なスクリプトが埋め込まれているサインで、
詐欺通販サイトや偽アプリのダウンロードページなど、攻撃者が仕掛けた罠へ誘導されている可能性があります。
④ 不審なURLリンクや海外ドメインの表示
アドレスバーにも注目してください。
「www.〇〇.co.jp」などの日本の正規ドメインではなく、
- 見慣れない文字列が混ざっていたり、
- 「.ru」「.cn」など、海外のドメインに飛ばされたり、
このような場合は、サイトがすでに乗っ取られている、あるいは悪意あるリンクを踏んでしまった可能性があります。
⑤ ブラウザやセキュリティソフトの警告を無視しない
最近のブラウザやセキュリティソフトには、改ざんサイトの兆候を自動検知する機能がついています。
「このサイトは安全ではありません」「フィッシングの可能性があります」などの警告が出た場合は、
そのまま進まないようにしてください。
「一度だけなら大丈夫だろう」は、命取りになります。
まとめとして
皆さん、不正改ざんサイトを見分ける最大のポイントは、“いつもと違う”という感覚を見逃さないことです。
私たちの直感は意外と正しく、
「なんか変だな」と思ったときに立ち止まれるかどうかが、被害に遭うか防げるかの分かれ道になります。
今後はぜひ、今日お伝えした見分け方を意識しながら、安全なインターネット利用を心がけていただければと思います。
不正改ざんサイトへの具体的な対策
皆さん、ここまでのお話で、不正改ざんサイトの怖さ、そしてその見分け方についてご理解いただけたかと思います。
ここからは、実際に私たちがどのようにしてこのような被害を未然に防ぐか、つまり具体的な対策についてお話ししていきます。
これは、「閲覧するユーザー側の対策」と「サイトを運営する側の対策」の2つに分けて考えることが大切です。
【1】ユーザー側の対策(閲覧者として)
まずは、私たち一般のユーザーが日常的にできる対策です。
① セキュリティソフトを必ず導入・最新に保つ
これは基本中の基本ですが、セキュリティソフトは必ず入れておきましょう。
最近の製品は、改ざんサイトやフィッシングサイトを自動で検知し、アクセス前にブロックしてくれます。
また、導入するだけで満足せず、定期的なアップデートをお忘れなく。
古い状態では防げるものも防げません。
② URLの確認を習慣に
「本当に正規のサイトかどうか」、アドレスバーのURLを確認するクセをつけてください。
- 「http://」ではなく、「https://」で始まっているか?
- ドメイン名におかしな文字が入っていないか?
- 表示されている会社名とURLが一致しているか?
こういったチェックで、多くの偽サイトや改ざんサイトを避けることができます。
③ 不自然なポップアップや広告は絶対にクリックしない
「ウイルスに感染しました!」「スマホが危険です!」などといった警告表示は、99%が偽物です。
あわててクリックするのではなく、一度冷静になってページを閉じるという判断をしましょう。
④ ブラウザ・OSの更新も怠らない
実は、ChromeやSafariといったブラウザにも、不正改ざんを検知する機能が備わっています。
しかし、これも古いバージョンでは機能しないことが多いため、定期的に更新することが重要です。
【2】サイト運営者側の対策
もし皆さんの中に、企業や団体、あるいは個人でウェブサイトを運営している方がいらっしゃれば、
こちらは特に大切な内容になります。
① CMSやプラグインを最新状態に
WordPressなどのCMSを利用している場合は、常に最新バージョンにアップデートすることが最重要です。
また、使っていないプラグインは削除するのが鉄則です。使わないものほど狙われやすいのです。
② 管理者パスワードを強化+二段階認証の導入
「admin」や「password123」といった簡単なパスワードは厳禁です。
英数字+記号を組み合わせた長く複雑なパスワードを使い、可能であれば二段階認証を設定してください。
③ WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の導入
これは少し専門的ですが、WAFというセキュリティ機能を導入することで、外部からの不正なアクセスや改ざんをブロックできます。
最近では、レンタルサーバー会社でもオプションで提供しているケースが多くなってきています。
④ 改ざん検知ツールを活用
定期的にサイトを自動スキャンしてくれる改ざん検知サービスを導入することで、
何か異変が起きた際に即座に通知を受けることができます。
無料のものでは「Google Search Console」も有効ですし、有料の専用ツールを活用するのも一つの手です。
いかがでしょうか?
不正改ざんサイトというのは、「気づいたときにはもう被害が出ていた」というケースがほとんどです。
だからこそ、“事前の対策”がなにより大切なのです。
- ユーザーとして「怪しいサイトを見抜く力」と、
- 運営者として「不正侵入を許さない環境作り」
この両輪がそろってこそ、私たちはインターネットを安心して活用することができるのです。
そして、もし被害に遭ってしまったら?
どれだけ気をつけていても、
100%被害を防ぐことは難しいのが、サイバー犯罪の現実です。
ですから今日は、**万が一被害に遭ってしまった場合の“正しい対応”**についても、ぜひ覚えておいてください。
初動が早ければ早いほど、被害を最小限に抑えることができます。
【1】金銭被害に遭った場合(偽通販など)
たとえば、偽ブランドサイトで商品を購入してしまい、「お金を振り込んだけど、商品が届かない」――
このようなケースでは、以下の対応が必要です。
● すぐにクレジットカード会社へ連絡
もしクレジットカードで支払っていた場合は、
カード会社に「不正利用の可能性がある」と連絡してください。
場合によっては、支払いを止められたり、返金対応してくれることもあります。
また、カード情報が流出している可能性もあるため、カードの停止や再発行の手続きを進めてください。
● 警察への相談(サイバー犯罪相談窓口)
お金を振り込んだ後に商品が届かない、連絡が取れないといった場合は、
お近くの警察署、または「都道府県警察のサイバー犯罪対策窓口」へ相談しましょう。
証拠として、
- サイトのURL
- やりとりしたメール
- 注文画面や振込記録のスクリーンショット
などを残しておくことが、解決に向けた重要な情報になります。
● 国民生活センターへの相談
また、消費者トラブルとして**「消費生活センター」や「国民生活センター(188)」**でも相談を受け付けています。
法律的にどう対処すべきか、どこに連絡すればいいかなどをアドバイスしてくれます。
【2】個人情報やログイン情報を入力してしまった場合
たとえば、改ざんされたログイン画面でパスワードを入力してしまった、
フィッシングサイトにメールアドレスや住所を入力してしまった――
こういった場合は、次の行動が必要です。
● パスワードをすぐ変更
ログイン情報を入力してしまったサービスについては、すぐにパスワードを変更してください。
そして、同じパスワードを使いまわしている他のサービスも変更が必要です。
(※攻撃者は他のサービスでも不正ログインを試みるためです。)
● 二段階認証の設定
可能であれば、GoogleアカウントやSNSなど、二段階認証を有効にしておくことで、乗っ取りのリスクを減らすことができます。
【3】ウイルス感染が疑われる場合
「怪しいポップアップをクリックしてしまった」
「見覚えのないアプリやソフトが勝手にインストールされた」――
このような場合は、マルウェア感染の可能性があります。
● セキュリティソフトでスキャン・駆除
まずはセキュリティソフトでウイルススキャンを実行し、検出されたものを駆除します。
感染が深刻な場合は、パソコンやスマートフォンの初期化が必要になることもあります。
● ネットバンキングやクレカ利用履歴の確認
マルウェアによって個人情報や口座情報が盗まれている場合もあるため、
ネットバンキングやクレジットカードの利用履歴を確認し、
不審な取引があればすぐに銀行やカード会社へ連絡しましょう。
最後に
被害に遭ってしまったからといって、「もうダメだ」「恥ずかしい」などと思う必要はありません。
むしろ重要なのは、被害を広げないこと、そして正しく報告して次に活かすことです。
- 自分の身を守る
- 家族や同僚にも注意を呼びかける
- そして、社会全体で被害を減らしていく
そのためにも、「早期対応・冷静な判断・正しい報告」を、ぜひ覚えておいてください。