【セキュリティ講座①】Microsoft Defenderだけで十分? 他のエンドポイントセキュリティ製品は必要か?
PCを利用する上で欠かせないのが「ウイルス対策ソフト」です。
近年、Windows 10 / 11 には 「Microsoft Defender Antivirus」 が標準搭載されており、特別な設定をしなくても自動的に有効になっています。
では、「Microsoft Defender があるのなら、ウイルスバスターなどの他のエンドポイントセキュリティ製品は不要なのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、その関係性を整理し、導入の考え方を解説します。
Microsoft Defenderとは?
Microsoft Defender は、マイクロソフトが提供する 標準のウイルス対策機能 です。
主な特徴は以下の通りです。
OS標準搭載(追加費用なしで利用可能)
ウイルスやマルウェアのパターンマッチング検知に対応
AIやクラウドを活用した未知の脅威への対策機能あり
Windows Update と連動し、常に最新化される
特にWindows 11では、機能改善が進んでおり、従来の「標準機能は不安」という印象は薄れつつあります。
パターンマッチング型製品(ウイルスバスター等)との違い
一方、ウイルスバスターやESET、Nortonなどの「市販セキュリティソフト」も根強い人気があります。
これらは、ウイルスのパターンファイルを基にした検知を基本としながら、追加のセキュリティ機能を備えています。
例えば:
迷惑メール・フィッシングサイト対策
複数端末(スマホ・タブレット含む)を一括管理
ファイアウォール強化、ランサムウェア対策
個人情報保護、保護者による利用制限(ペアレンタルコントロール)
サポート窓口(導入・トラブル時の支援)
つまり、市販製品は「ウイルス対策+付加価値機能」がセットになっているのが大きな違いです。
Defenderだけで十分なケース
次のようなケースでは、Microsoft Defenderだけで実用上問題がないこともあります:
利用者が セキュリティ意識を持って行動している
(怪しいメールを開かない・不審なサイトにアクセスしない)
業務専用PCで用途が限定されている
他のセキュリティ対策(UTM、メールゲートウェイ、EDR製品など)が既に導入されている
ライセンス費用を抑えたい
特に企業環境では、Microsoft 365 Defender(有償版)を利用することで、EDR(Endpoint Detection & Response)や脅威ハンティング機能まで拡張でき、専用ソフトに匹敵する防御力を得ることも可能です。
追加のエンドポイントセキュリティ製品が有効なケース
一方で、以下のようなケースでは市販のエンドポイントセキュリティ製品を導入することが望ましい場合があります。
専任のセキュリティ担当者がいない、または体制が弱い
異なるOS(Mac、モバイル端末)を統合的に管理したい
医療・金融など、高い情報漏洩リスクを抱える業種
ユーザーサポートやトラブル対応を外部に依存したい
ランサムウェアや標的型攻撃への 多層的な防御を優先する場合
つまり、Defenderが「基本性能で十分」な一方、業種・体制・リスク許容度によっては追加製品が不可欠になるケースもあるということです。
まとめ
Microsoft Defenderは標準で十分に強力であり、特にMicrosoft 365と組み合わせた法人利用では、コストパフォーマンスに優れた選択肢。
しかし、包括的な運用支援・多OS対応・サポート体制を重視する法人では、ウイルスバスター等の市販エンドポイント製品が依然として有効。
重要なのは、「自社の業務環境・体制・リスク許容度」を踏まえたうえで、最適なセキュリティレイヤーを設計すること。